できないヤツのヒガミ

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私が派遣会社を通して中洲のクラブで仕事をしていたときのこと、私と同じようにその派遣会社の仕事と昼間の本業をかけもちして稼いでいた女の子がいた。
当時、彼女は25歳前後。
昼間はコンピューターのプログラマー。
普通のOLよりいい給料はもらっているだろうし、親元から通っていたので金銭的には何の不自由もないだろうと思ったのだけど、なぜか平日の夜はもちろん、本業がお休みの土日もせっせと働いていた彼女。
その上、帰りは派遣会社からの送迎バスを利用するので、他の子の仕事が終わるまで待たなければ帰れず、家に帰りつくのは常に夜中の2時か3時だった。
ちなみに彼女が派遣で行っていた店はランジェリーパブで、一度だけお店を覗かせて頂いたことがあるのだけど、スケスケのスリップに殆どヒモ状態のTバック姿の女の子たちがウジャウジャ…。
そんなところで毎日働いて、借金でもあるのかな、それとも夢でもあってそのためにお金を貯めてるのかな…なんて思っていた。
とは言っても、彼女と私の仕事時間は全く違っていたため、事務所へ行ってもなかなか顔を合わせる機会もなく顔見知りではあっても言葉を交わしたことは一度もなかった。

そんなある日、仕事が終わり、着替えのために事務所へ戻ると珍しく彼女がソファに座っている。
店がヒマで早めに閉めてしまったらしいのだけど、彼女はいつもの送迎バスに乗るために時間をつぶしていた。
彼女の家はうちと同じ地域だと事務所の人に聞いていたので、車通勤だった私が「近くだから送ってあげようか?」と声をかけると嬉しそうについてきた。

地味で、飾りっけもなく、口下手でお世辞にもかわいいとは言い難い子。
ブランド物のバッグを持っているわけでもなく、洋服もごく普通の、どちらかと言えば安っぽい感じ…見れば見るほどランパブで仕事をしているようには見えない。

「借金でもあるの?」と聞いてみると
「いいえ。」と答える。
「あっ、じゃあ将来 店を持ちたいとか、何か目標があるんでしょ?」と聞くと
「いいえ。」と答える。
「昼間も仕事してるんでしょ?毎晩、送迎バスなんかを待ってたら寝る時間がないやん。原チャリでも買って早く帰れるようにした方がいいよ。」
「………」
「それに、たまには休まんと、体壊すよ。」
「働いていないと怖いんです。休んでいる時間がもったいなくて。」
「ご両親には何て言ってあるの?」
「ホテルで皿洗いのバイトをしてると言ってあります。」
何の目的もなく、何が楽しくて仕事ばかりしているんだろうか。
なんだかかわいそうで、私の方が悲しくなってきた。

後日、事務所の人に彼女の話をしてみた。

「○ちゃん、あんな生活してたら絶対体壊すよね。何とかならんのかな~。」
「あぁ、あの子?病気よ。お金が好きな病気。毎日 大量のサプリメント飲んで、稼ぎまくって。通帳を十何冊も持ってて、全部で6千万円ぐらいあるらしいよ。」
「ろっ…6千万!!??」
「ランパブのショータイムのとき、お客さんの前でパンツ脱いで股をおっぴろげて、チップだけでもかなり稼いでるし。」
「………」

心配して損した。
目標もないのに、そんなことまでして稼ぐなんて…私には到底理解できない人種だわ。
気分が悪くなった私は、バイト先のクラブで働く女性たちにそのことを話してみた。

「えぇ~?目標もないのにお金ばっかり貯めて、何が楽しいんやろうね~?」
「若いときは今しかないのに、もったいないよね~。」
「信じられ~ん。かわいそうな人。」

みんながアレコレ否定的な意見を言っていたそのとき、背後からママの声がした。

「それは間違いなく“ひがみ”よ。あんたたちは、それだけのお金が欲しくてもそこまでしきらんやろ?」

あぁ、その通り。
確かにひがみなのかもしれない。
さすが、ママになるだけの人は考え方も違うもんだ。
私たちはお互いの顔を見合わせながら、大笑いした。
数年後、彼女は昼間の仕事の転勤で、東京へ引っ越したとのことだった。
きっと歌舞伎町あたりで稼ぎまくって、今頃は預金も2億ぐらいになってるかもねぇ…なんて事務所の人が言ってたっけ。
う~~ん、やっぱり羨ましいかも(笑)。

いつもありがとうございます。
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MotherLeaf*

コメント

  1. 同じく当時プログラマから転職しようとしてたとこでしたが、ランパブなんて同僚や取引先がウヨウヨいそうなのに、成り立っていたのかな?
    まあ、夜の顔をみて、同じ人だと区別つかんようなおっさんだから、そういうところに行くんだろうけど、かなり謎ですね。
    しかし、当時で6千万かー
    たしかにひがみたくなるな(笑)

  2. underrockから本ネームに変更して、おはようございま~す^^
    ランパブではありませんが、普通のクラブ系のお店に職場の同僚が良い店があるというので、職場の先輩と3人で行ったことがあります。
    まぁ私は当たり障りのないことをワイワイガヤガヤお嬢さんと話してましたが、その先輩もいろいろ話してました。
    後でどんな話してたんですか?と聞いたら
    「う~ん、学費は親に出してもらってるから、生活費を稼いでいるってさ。すごく偉いと思うんだけど、なんか同世代の娘を持ってると複雑だよ」
    としんみり…..
    ま、夜の街もいろいろドラマがあるようですね。

  3. ::banさん::
    昼間の仕事関係の人にそんなとこ見られたら大変だよねー。
    ただの飲み屋ならまだしも、ランパブだもんね。
    地味で、そんなとこで働いてるようには全く見えないんで、会ってもわからないのかもしれないね。
    いやースゴイよね。
    夜だけでも月100万~200万ぐらい稼いでたみたいだから、使わなかったら貯まるよねー。
    でもマネできないなー。

  4. ::ゆったり人さん::
    HN変わったんですねー。
    なんかイメージも少し変わっちゃいます。
    夜の世界で働く人たちは、それぞれ色んな事情を抱えている人が多いんですよね。
    借金とか、ヒモがいるとか、夢のためにとか・・・。
    でも最近は、贅沢をするためという子が多いようです。
    手っ取り早く稼げますからね。
    でもそんな子たちでも出産すると、どんな事情であれ自分の子には絶対にそんな仕事だけはして欲しくないと考えるでしょうね。
    私がそうですからー(笑)

  5. 1.ブランド品を買うため。
    2.海外旅行のため。
    3.男と遊ぶ資金、とか部屋代。
    4.まずはお金を貯めたいから。
    で、最悪はホストに貢やつ。真面目な短大を出て、親のコネで
    就職して、会社の金を使い込んでホスト遊びしてた子がいた。
    地味な服装で何で?と思うような子だった。
    確かに,ランパブは稼げたみたい。月100万以上揚げてた。
    クラブホステスは出て行く金も多いから、そんなに残らんもんね。また、ママが貯まらんように使わせるよ。金が貯まったら店を始めるからね。

  6. ::kspawsさん::
    そうそう、ホステスって意外と貯まらないんですよね。
    それだけ遊びも派手だし、お金かかることも多い。
    私も結構遊びまわってましたもの~~(反省)。
    彼女にとって、お金ってどういう意味があるんでしょうね。
    体を犠牲にしてきた数年間という時間は、決してお金では買えないものだし、死ぬときはお金を持っていけるわけではないのに・・・。

  7. 人生色々、人もまた色々です。自分に出来ない事してる方には敬意を持って接しましょう!

  8. ::シシマルさん::
    初めまして。コメントありがとうございます。
    人生色々、そうですね。
    人によって人生も考え方も様々ですので、自分短~~いモノサシで他人様を測ってアレコレ言うのは勝手すぎますね。
    今後、気をつけたいと思います・・・。