「今日 夜ごはんは食ないです 今すしと友達です💓」
留学の2年前から勉強しているというNちゃんの日本語は、10カ月間の滞在で殆ど上達することはなかった。
Nちゃんから送られてくるLINEのメッセージにはほぼ毎回何らかの間違いがあり、そのたびに注意をしたが、「すしと友達です」が「友達とすしです」になるまで半年以上かかるぐらい絶望的だった。
ある日、Nちゃんが私にお願いごとをしてきた。
拙い日本語から推察して、本人に確認する。
「東京の友だちが研修か何かで長崎に行っていて、東京に帰る前に福岡に立ち寄るので、家に泊めたい…ということ?」
するとNちゃんはニコニコ顔で「そうです、そうです」と言いながら何度も頷いた。
正直言って、面倒だな…とは思ったが、1泊ぐらいならいいか…と承諾。
するとその数日後、今度はその友だちを3泊させたいと言う。
なんだよ。最初からそんな作戦だったのか。
少しイラっとしたけど、一度OKしたのだから仕方ない…その代わり、食事は一切作らなくてもいいなら…という条件を出した。
その翌週、友だちのYちゃんがやってきた。
ふたりで朝から晩まで出歩き楽しそうに過ごしていて、私は私で食事を作らなくて良かったのでラクチンだった。
2泊目だったか、たまたまYちゃんとふたりで話す機会があった。
「東京から研修で来たんでしょう?」
Yちゃんは驚いた顔で言った。
「違います。留学で長崎に住んでいます。
タイの家族が日本に来るので、東京で会って一緒に旅行をする予定です」
は?全然違うじゃないか。
しかも彼女はNちゃんとは違って日本語がとても上手だった。
「日本語はどれくらい勉強してるの?」
「日本に来る少し前からです…半年ぐらいです」
「あなたもアイドルとかジャニーズとかが好きで日本に来たの?」
ここで初めて、Yちゃんが私が言っていることを理解できなかったようで、説明をすると、即座に否定した。
「私は日本の歴史や文化が好きなので日本語を勉強しています」
なるほど!
これが本来の留学生のあるべき姿だし、その結果が彼女の日本語力にも表れていた。
その次の週だったか、あまりにNちゃんが勉強をしないので晩ごはんを食べながら話をした。
Nちゃんが私に説明したYちゃんのことが全く違っていたことを英語で説明すると、驚いた顔でスクッと立ち上がり、
「やばい、やばい、やばい、やばい、やばい…勉強します…」と言って自室へ戻っていった。
ああぁ…やっとわかってくれたか…と安心したのも束の間、30分ほど経ったころ、Nちゃんの大きな歌声が聞こえてきたので部屋を覗いてみると、ベッドに寝転がってゴロゴロ…。
彼女には、もう何を言っても無駄だということがよくわかった。
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