娘の帰国を前に、病院からいくつかの条件が出された。
長時間のフライト中、何かあったときのために日本から保護者が迎えに来ること。
帰国後数日以内に受診できるよう、専門医を予約しておくこと。
もちろん、帰国直前の検査で異常がなければという前提だった。
病院側からOKが出ないと帰れないので、前もって格安チケットを購入することはできなかった。
その上、SF(サンフランシスコ)で乗り換える国内線料金が高く、片道4万円ほどもした。
娘の帰りのチケットは国際線しかないので、国内線は私の往復と娘の片道分で合計12万円、私の福岡-SFの運賃を含めると27万円ほどになる。
国際線は仕方ないにしても国内線はなかなか安い便がなく、いっそのことSFからレンタカーで娘を迎えに行き、帰りはふたりで観光でもしながら帰ってこようか…と思ったが、福岡から東京ぐらいの距離だったのですぐに諦めた。
そんなことをしているときにNY在住の月ちゃんが、短時間なら娘もひとりで飛行機に乗っても問題ない筈なのでSFで娘と落ち合ってはどうか？と提案…娘の国内線チケットをプレゼントしてくれた。
本当に有難かった。
そして、娘を治療できそうな大きな病院をいくつかピックアップした。
娘の高校の近くであれば学校を休まずに通院できるのではないかと思い、学校から徒歩圏内の病院にメールをした。
娘の病状と、主治医から帰国後数日以内に受診できるように言われているため予約をしたいと書いたが、翌日返信されてきたメールにはこんなことが書いてあった。
「いつもお世話になります。
また、診療にかかるご連絡ありがとうございます。
お問い合わせのありました件についてですが、大変申し訳ありませんが、初診の方の予約受付を行っていませんので、8時30分から11時までに病院までお越し頂きますようお願い致します。
なお、紹介状の持参がなければ、別途、選定療養費5,400円がかかりますことを併せてご連絡させていただきます。」
明らかに定型文をコピペしてあるのがわかり落胆し腹が立ったが、番号をつけて項目ごとに答えてもらえるようにして再びメールをしたら、次はこんな返信が返ってきた。
1. 娘の治療は貴院で可能でしょうか。
→可能
2. 紹介状というのは、アメリカの医療機関(又は医師)からのものでも有効でしょうか。
→有効
3. 紹介状の有無にかかわらず、初診の場合は予約はできないのでしょうか。
→予約はできません
4. アメリカの主治医による紹介状でも可能な場合、必須記載事項等はありますでしょうか？
→必須記載事項はありませんが、病歴等の記載があればよいとのことです。
そっけない対応が少し気になったが、以前母が九大に入院していたときの主治医の先生が転勤された病院だったので、九大と同等の医療を受けられるだろうと思った。
このとき私は既にアパートを引き払いリフォーム中の実家に移り住んでいた。
毎日、あれこれと考えること・やることだらけだった。
娘の体も心配だったし、20年ぶりの渡米にも緊張していたし、お金のことや帰ってからのこと…病院や学校のことなど…もう、本当に頭の中がいっぱいいっぱいでパンクしそうだった。
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