人と人

２か月ほど前だったか、某運送会社航空便担当のドライバーさんが営業に来た。
見たところ年のころは２０代後半といったところか。
礼儀正しくて、感じがよくて、何より元気がいい。

メインの仕事ではデータのやりとりなどは殆どがメールを使うので、航空便なんて数ヶ月に一度くらい使う程度。
だけれども、彼の感じのよさと必死さに押されて、口座を作った。
しかし航空便は、東京とか、それ以上離れている場合にしか使わないので、陸便のドライバーさんにも来て頂くようにお願いした。

数日後、陸便のドライバーさんが来たのだけど、航空便の彼とは全く正反対。
笑顔もなければ元気もなし。
私はオークションでよくメール便を使用するので、メール便を使いたい旨を伝えると途端に嫌な顔をしてきた。

「メール便って、大して送れませんよ。これくらいのものしか…」と親指と人差し指で１センチほどの空間をつくる。

「えっ？もっとぶ厚いのいけますよね？」

実は私、何社かのメール便は全て使ったことがあるため、送れるサイズと料金は熟知している。
実際ここのメール便は、長さ・幅・厚さの合計が１．７ｍまでいけるはずである。

それなのに、「大したものは送れないので、陸便で送った方がいいですよ」と言いやがる。

「大丈夫ですから、使えるようにしてください」と言うと
「でも１ヶ月ぐらいかかりますよ。使えるようになるまで」
そんなに時間がかかるとは思えなかったが、手配をしてもらうようにした。

その翌日、別の運送会社が来たので、そこでも口座をつくることに。
こちらは私の個人名義。
交渉に交渉を重ねて、かなりの格安料金になった。
ついでにメール便もお願いすることにして、いつから使えるのかを聞くと…

「今日帰って登録して、明日伝票を印字してきますので、遅くとも明後日には」とのお返事。

それからというもの、感じのよい航空便のお兄さんのことは忘れ、荷物もメール便も同じところを利用するように。
快適で、もうここの運送会社だけにしてもいいかなぁ…なんて思っていたつい先週。
突然、航空便のお兄さん登場。

玄関に置いてあった他社の伝票が貼ってある荷物を見られてしまった。
嫌な顔はしないが、その荷物が気になるようで、話をしながらチラチラと荷物の送り先を見ている。
彼が突然来た理由は、先日集荷の際に「伝票の控えを挟むバインダー持ってますか？よかったら会社のじゃないけど、ひとつ持ってきましょうか？」と言っていたので、その約束を守り、伝票サイズのバインダーを渡すためだった。
バインダーには、テプラで作ったうちの会社名のテープが貼ってある。
なんとも申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

彼が帰ったあと、慌てて玄関で他運送会社の集荷待ちだった荷物の伝票を剥がして、航空便の伝票に書き換え、集荷の電話をすると彼はすぐに来た。
「何回も来てもらって、ごめんねぇ」と言うと
「ありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しかったです！」というお返事。
料金とかサービス内容とかよりも、やっぱり直接接する人で客の気持ちって変わるもの。
それからと言うもの、遠方は必ず航空便を使うようにした。
元気のいい人からは、自分も元気をもらえるからね。