十数年前、娘のアメリカ国籍を取る手続きの方法を聞くため、領事館に電話をかけたことがある。
消印が押された手紙や日付け入りの写真など、妊娠した時期に娘の父親と付き合っていたという証拠がなければ難しいと言われた。
後にDNA鑑定も考えたが、公的書類に使用する場合は、鑑定する医療機関も限られていたため、コストも含めかなりハードルが高かった。
何より、認知の時でさえ、娘の父親にはかなり手こずらされたので、DNA鑑定や領事館が絡んでくるとなると、彼が素直に応じるとは思えなかった。
そんなことを考えるごとに、アメリカ領事館と娘の父親が、私の中でずっとずっと遠い存在になりつつあった。
しかし今回の留学が決まったとき、ずっと後回しにし続けてきたこの問題が、頭をよぎった。
17歳で渡米、18歳で帰国となると、もうあまり時間がない。
帰国したらすぐにでも手を打たなければとは思っていた。
それが今回、あちらからやって来た。
アメリカにいる父親の親族とは交流があるのか。
また、アメリカのパスポートは持っているか。
娘が返答できなかったことを、メールで領事館の担当者に伝えると、まもなく電話がかかってきた。
(娘の留学は)J-1ビザではなく、アメリカのパスポートで行ってはどうか。
そんな願ったり叶ったりな提案をされたものの、私は心の準備ができていなかったため狼狽えた。
8月の出発に間に合うのか。
そもそも今の時点でアメリカ国籍になってしまったら留学が成立しないのではないか。
そうすると今回申し込んだ留学プログラムにも参加できないのではないか。
それでは留学助成金もキャンセルになるのでは?
色んな疑問がグルグルと頭の中を巡った。
しかし娘の国籍問題をクリアするのは今しかないとも思い、娘の父親と連絡を取ることを了承して電話を切った。
10年以上ぶりの彼へのメール。
何と書けばいいのかわからず、書いては消し、そしてまた書くといった作業を繰り返した。
そして震える指で「送信」を押したが、メールが彼に届くことはなかった。
シングルマザーのブログランキング
コメント
こんにちは。
娘さんのアメリカ国籍の取得する為に動く事が
なかなかハードルが高そうなことを感じました。
娘さんの為に上手くいくと良いですね。
頑張ってくださいね。
メグさん、コメントありがとうございます。
こちらは一昨年の出来事です。
お陰様で国籍は無事に取得できました。
また遊びにいらしてくださいね。