アメリカから届いた封書を開けると、大量の書類が入っていた。
私が送った書類にはサインがしてあったが、日付や病名など娘の病気に関しての記載は一切なく、「添付の書類を参照のこと」と記した付箋が貼ってあった。
その添付の書類というのが50枚以上あり、娘に投与された薬や処置などの明細とその金額が記してあったので診療明細書だということがわかった。
役場に相談すると、それでもOKとのことだが、全て翻訳する必要があった。
どうやって翻訳するのが効率がいいかを考え、まず表計算ソフトのエクセルに全てを入力した。
順に番号を付けると520行にもなった。
繰り返し投与された薬や処置などもたくさんあったので、明細順に並べ替えると最終的には約180項目を翻訳すれば全部終わる。
しかしわからないものがたくさんあった。
あまりに専門的過ぎて、ネットで検索しても出てこない上に、微妙に略してしてあったりするので翻訳作業は困難を極めた。
どう調べてもわからないものがあり、医者の友人にメールで尋ねると、「これはたぶん検査のことじゃないかな」「これは薬と思う」といった感じで、やっぱり国が違うと略の仕方も違うし、しかも病気の詳細が分かるまでの1週間で受けた様々な検査はあまりにも特殊すぎた。
それでもわからないものは、オーストラリアの友人に相談した。
オーストラリア在住30年以上で完全にネイティブだし、頭が良く想像力も豊かで、困りごとで相談するたびに、すぐに解答してくれる頼もしい友人。
すると私の読み通り、医者でもわからなかった項目を知識と想像力を駆使して解読してくれた。
翻訳が終わると、それを入院、診察、手術、X線、薬、麻酔などの項目ごとに分けて、それぞれの合計額を計算。
その上、投与した薬を日付順にすべて書き出さなければならず、それが280行にもなった。
その他、医者の所見が記載されている書類も結構な量で、そこから特に大事なところを抜き出し翻訳していると、当時のことが思い出され涙が出た。
〇〇は、留学8カ月目に右肺の痛みを訴え、次第に症状が悪化。脇腹と背中も痛むようになり、息切れと、咳とともに喀血があった。数週間前に同じ症状により救急で受診したところ、右肺の肺炎と診断され抗生物質を処方された。抗生物質で痛みが楽になったが、再び咳、新たに脚の痛みと腫れが始まった。静脈血栓症などの病歴はなく、またホルモン剤や経口避妊薬の服用はしていない。
この翻訳作業にかかった期間は約1カ月。
でも、この申請で得られるであろう保険金の金額を考えると、それくらいの労力は当然のように思えた。
ようやくすべての作業が終わる…というときに、役場から電話がかかってきた。
まだ提出すらしていない海外療養費の申請を阻む内容で愕然とした。
海外療養費の審査などを取りまとめている県の機関が、保険会社が病院に支払った領収証の原本がないと手続きはできないと言っているらしかった。
はぁ?今ごろ何言ってんの?
そんなもの保険会社が病院に支払ったのだから、その領収証は保険会社のものなのに、私に渡すわけがない。
「物理的に考えて、私がそんなものもらえるわけないじゃないですか!」と私が言うと
「えぇ、でも県の機関が…それがないと審査ができないと言っているんです」と言う。
何を言っても「でも県が…」と言い張るので頭にきた。
それじゃあ白黒はっきりするために、県ではなく国に確認しようじゃないか。
私は、霞が関の厚生労働省に電話をした。
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