留学エージェントにはアメリカ側に連絡を取ってもらい、アメリカ人でも留学プログラムに参加可能だということを確認できたので、予定通り手続きを進めてもらうことになった。
出生証明書の発行手数料$100の支払いはどうするかと領事館の担当者に電話で問われたとき、私が「父親に支払わせてください」と言うと、「拒否されたらどうしますか?もしかするとサインをしないと言いだすかもしれませんよ」と心配されていたが、私には絶対的な自信があった。
そして予想通り、彼はサインをし支払いもした。
娘は、父親と会ったことを、すぐには話さなかった。
後日、車で出かけた際、領事館でのことをきいてみると、
「…あの…父…親と会った」
「どうやった?」
「別に…普通」
そのときの会話はそれで終わってしまったので、本人がいつか話したいときに話してくれるのを待っていようと思った。
すると後日、途切れ途切れに少しずつ話してくれた。
父親の顔は覚えていなかったが、領事館の入り口でファンキーな黒人に遭遇し、なんとなくそうかなとは思った。
領事館での手続きを終えたあとは、地下鉄の駅まで一緒に帰ってきた。
父親はずっと歌を歌っていた。
そして、再会を喜んでいたとのことだった。
領事館では奇跡が起きていた。
通常は、DNA鑑定などの証拠が必要だが、あまりに父親と娘の顔がそっくりなことから、領事も含めたスタッフ全員が親子だと認め、何の証明もいらなかったらしい。
他人から見ると、そんなにそっくりなのか。
私としては少々複雑な心境だったが、そのお蔭ですんなりとアメリカ人として認められたのだから良しとしておこう。
そして、2週間後。
無事にアメリカのパスポートを受け取った。
ザ・アメリカという感じの、日本のものと比べるとずいぶんと派手なパスポートだった。
領事館の担当者にお礼のメールをすると、すぐに返信が届いた。
「最初、お嬢さんがビザの申請に来られた時は
出発に間に合うようにパスポートができるか心配しました。
ところが、みなさん協力的に動いていただき、
領事も納得して書類の手続きを進めることができました。
お嬢さんがアメリカ留学をしようと思ったことをきっかけに、
いろいろなことが動いたと思います。
アメリカでの経験が有意義なものとなりますように。」
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