我が家のベランダから見下ろしたところに数軒の民家がある。
うちの真正面の民家前には物干し竿があり、毎日のように洗濯物が干してある。
朝の早い時間には、昭和の時代によく見かけたような、カーラーがいくつもセットしてある上にスカーフのようなものを頭に巻いたおばちゃんが洗濯物を干している場面に出くわす。
屋根がないところなので、急に雨が降ってきたりすると、私の方が心配になりベランダに飛び出しては洗濯物が出ていないか確認するということが何度もあったが、殆どの場合、洗濯物は既に取り込んであり、おばちゃんが長年培ってきた主婦の勘のようなものに感動していた。
いつの間にか、おばちゃんの洗濯サイクルがわかってきて、朝晴れていても、おばちゃんが洗濯物を干していなければ、午後から雨が降るということがわかってきた。
そして、その予想はほぼ的中した。
時には、天気予報よりも的中率の高いおばちゃんの洗濯予想に感動し、次第に我が家の洗濯サイクルは、おばちゃんが洗濯物を干しているかどうかに大きく左右されるようになった。
しかし、ここ1~2年、おばちゃんの洗濯サイクルがだんだんと変わってきた。
家の横にあった大きな物置小屋が壊されたころからだと思う。
そこの物置小屋の屋根は木が生い茂る斜面につながっていて、時おり下りてくる動物や鳥たちの憩いの場となっていた。
物置小屋の屋根で憩うタヌキの親子たち。この場所で子猫が生まれたこともあった。
しかし、その物置小屋が壊された時期ぐらいから、私は次第におばちゃんの洗濯物をチェックすることが減っていった。
おばちゃんの洗濯予想的中率が降下してきたように感じたからだった。
そこで思ったことは、おばちゃんの動物的とも思える勘は、物置小屋に集まっていた動物たちから与えられたものではないかということ。
憩いの場をありがとう!とばかりに、動物たちがおばちゃんに天気を教えてくれていたんじゃないか…。
連日のゲリラ豪雨に反発するかのように、おばちゃんは土曜も日曜も洗濯物を干しては雨に濡らされていた。
それを見かけた私は、未だ挨拶どころか上から眺めたことしかないおばちゃんに「おばちゃーーーん!雨が降ってきたよーーーー!」と心の中で叫んでみるが、届くはずもない。
小さな虫かごに3匹ものクワガタを押し込んでいることが、私の力が及ばない原因なのかもしれない。
さすがに3日目の昨日は、諦めたのか、洗濯物が干されることはなかった。
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コメント
動物はえらい、湿度を鼻で感じるのかな。
それとも気圧を耳で感じるとか。
::kspawsさん::
もしかすると、まだ解明されていない予知能力があるのかもしれませんね。
人間は、頭で考えることで、その辺の能力が退化したんですかね~。