虐待やネグレクトを「負の連鎖」で片づけないで

スポンサーリンク

 東京・大田区のマンションで3歳の長女・稀華(のあ)ちゃんを放置し死亡させたとして、母親である元居酒屋店店員・梯沙希(かけはしさき・24)容疑者が保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕された事件。梯容疑者自身も幼少期に両親から虐待を受けていたことが、「文春オンライン」の取材でわかった。

「梯は8歳の時に母親から『身の回りのことをキチンとしない』などの理由で平手で殴られ全治2週間の怪我を負わされています。あばらや腰の骨が浮き出てるほどやせ細り、食事を十分に取っていない状態だった。県警は『緊急事態』と判断し、母親は傷害と保護責任者遺棄、父親は保護責任者遺棄の容疑で逮捕した。

事件発覚後に梯は入院し、児童相談所に保護され、その後は養護施設に入所しました。事件後に両親は離婚していますが、梯は現在も母親との関係は切れておらず、複雑な親子関係だったのは想像に難くない」

こんな事件のニュースを見るたびに心が痛い。
文春オンラインによると、梯沙希容疑者自身も母親からネグレクトや虐待を受けていたらしいので、負の連鎖なんだろうけど、同じような経験をした人すべてがそうなるわけじゃない。

以前このブログにも書いた気がするんだけど、私の友人Sちゃん。
シングルマザーであったスナック勤めの母親が男ができると家を空けることが多く、寂しい子供時代を過ごしたらしい。
長い時で1週間も帰ってこなかったが、当時Sちゃんは小学生だったし、すぐ上にお姉さんもいたので何とか生きられていた。
児童相談所から保護されそうになったこともあったが、母親が激しく拒否したらしい。

Sちゃんは中学を卒業後、高校に行きたかったが、母親がそんなお金をだしてくれるわけもなくスーパーで働き始めた。
そして十代で結婚し出産するも、同居の義父からセクハラを受け始めたが、義母に言っても取り合ってもらえず、夫から暴力を振るわれることもあったため、彼女は身の危険を感じ子供を連れて家を出た。
その後、何年もストーカー夫から追い掛け回されて、住居がバレるたびに引っ越した。
そんなとき、Sちゃんのところへ転がり込んできたのがネグレクトをしていた実の母親だった。
借金の取り立てが激しくて居場所がなくなりSちゃんを頼ってきた。
母親は我が物顔で彼女のアパートに居座った上、Sちゃんの元夫に住所を知らせたり(Sちゃん曰く、たぶんお金と引き換えにバラしたようだとのこと)、毎月の国民年金を支払うお金がないからと彼女に支払わせた。

「そんなの!払う必要ないよ!」

そんなことを言った覚えがあるけど、まったくの第三者である私の声は届かず…

そうしているうちに、一番の心のよりどころであったお姉さんが急逝。
持病があったわけではなのに、急に倒れてそのまま…。

次から次へと彼女に降りかかってくる試練は相当なものだったけど、その都度Sちゃんは必死に乗り越えて、一人息子を大事に大事に育てた。
若くて美人なので言い寄られることも多かったみたいだったけど、そんな誘惑には目もくれず、本当に頑張った。

親には大事にされなかったが、仕事も育児もしっかり頑張っているSちゃんみたいな人って多いと思う。
負の連鎖と言えばなんとなく納得する人も多いだろうけど、そんな言葉で片づけるたびに、同じような境遇で頑張っている人を色眼鏡で見る人が増えるんじゃないかと心配になる。

この事件の容疑者は『シングルマザー』と大きく報道されているけど、マザー(母親)でもなければ人間でもない。
『シングルマザー』はひとりで子育てをしている母親を指しているので、遊び惚けたり男を追いかけたりして子育てを放棄している人の新しい呼び名はないものかと思う。

いつもありがとうございます。
シングルマザーのブログランキング

コメント