昨日、娘を保育園にお迎えに行ったときに少しショックなことがあった。
これから帰ろうとする娘に、お友達のHちゃんが、
「今日はお父さんが早く帰ってきてて、家で待ってるから早く帰らんといかん」と娘に言った。
その言葉に娘は無表情で黙って何も言わず、またHちゃんが同じことを繰り返し言うが、娘は黙ったまま。
このやりとりが３～４回続き、やっとHちゃんはお母さんに手を引かれて帰っていったのだが、そのまま立ちすくんだ娘の後姿が寂しそうで、何と声をかけていいものやら…適切な言葉が思い浮かばない自分がもどかしかった。
夏ごろには他の子が私に向かって、娘の父親がいないのではないかと言うような眼差しで訊ねてきたことがあった。
「ねぇ、お父さんはどこにいるの？」
私は適当に「お仕事してるよ」と言ったが、娘もこんな風に聞かれているのかと思うと胸が痛む。
ちょうど一年前まで、父親には会わせていなかった。
２歳になるまでは会っていたが、彼の無責任さに腹が立ち、引越しを機に会わせなくなった。
いつかは父親のことを聞いてくる日がくるだろうと思ってはいたが、その「いつか」は考えていたよりもかなり早くきた。
３歳半のとき、私に娘が突然言ってきた。
「Ｂeちゃんとママはふたりだもんね。他には誰もいないもんね」
驚いて「保育園で誰かに何か言われた？」と聞くが、答えない。
「お友達？先生？お友達のお母さん？」と聞くと、うなづいた。
お友達のお母さんに父親のことを聞かれたらしい。
「パパと会いたい？」と聞くとすぐに嬉しそうな顔で「うん」と言ったので、すぐに父親に電話して会わせることにした。
２日後、１年半ぶりの親子の対面となり、嬉しそうなふたりを横目に、まるで自分が二人の仲を引き裂く鬼婆のように思えて悲しくなった。
それから３人で食事をすることになったのだが、途中で娘をトイレに連れて行ったときに
「あの人、誰かわかってる？」と聞くと、娘は恥ずかしそうに「ボブ」と答えた。
娘の父親はアメリカ出身の黒人なのだが、娘は黒人の男性は皆、「ボブ・サップ」だと思っていたらしい。
仕返しとばかりに彼にそれを伝えると、かなり傷ついたようだった。
それからは月に一度、養育費の集金の際に会わせているのだが、最近は「ボブ」もあまりテレビで見かけないので、お父さんとわかっているのだと思う。
そろそろ、どうして父親と一緒に住めないのかと聞いてきそうだが、何と答えようか…悩める日々が続く。
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