ジャパニーズレストランでの仕事は、午前中のランチの準備から始まり、途中2時間ほど休憩を挟んでディナー、閉店まで結構な長時間労働だった。
働くことはそれほど嫌いではないし、数ヶ月前の京都での仕事を思えばそれほどキツイものではなかった。
ビザなしの観光は3ヶ月までである。
3ヶ月ギリギリになると、カナダに来た当初お世話になった女性が保証人のような手紙を書いてくれて、入国管理局へ並び、更に3ヶ月ビザを延長してもらった。
レストランのオーナーに気に入られたのか、いずれワーキングビザを取ってやるとのことで、一度国外(アメリカ)へ出て申請し…などと手続きのスケジュールなどを話し合ったこともあった。
しかし、実を言うと、カナダが私の本当に住みたいところではなかった。
ワーキングビザを取って、それからどれくらいここに住むことになるのかを考えると、それほど気がすすまなかったのも確かだ。
若かった私にとって、カナダは退屈な国だった。
休みの日は、職場の友達と何度か旅行に出かけた。
大好きなアメリカへ足を伸ばすこともあった。
初めて行ったニューヨークはエキサイティングな街であったが、私がそれまで行った中で一番印象的だったのはシカゴ。
今思うと、シカゴのどこがそんなによかったのか、よくわからないのだけど。
そして働き始めて9ヵ月後、ウエイトレス仲間とふたりでシカゴへ出かけた。
久しぶりのシカゴは、楽しくて仕方なかった。
一緒に行った友人が呆れてしまうほど、はじけ飛んだ。
記憶が飛んでしまうほど飲んだくれて、クラブのトイレの便器を抱えて寝込んでいたら、店員たちに両脇を抱えられ店の外に放り出された。
本当に、本当に楽しかった。
そして、またカナダへ戻って来た。
飛行機を降りて、イミグレーションへ…
パスポートを差し出すと、厳しい表情の女性入国管理官が私をチラチラ見ながらパスポートをじっくりと調べている。
「あなた、アメリカ大陸に1年近くもいるのね。働いているでしょ?」
「いいえ、働いていません。」
「じゃあ、どうやって生活してるの?」
保証人である彼女のことを話すと、彼女の連絡先を教えろと言う。
彼女とはもう何ヶ月も会っておらず、私が出国したことも知らせていなかった。
どうしよう、どうしよう…段々と顔が青ざめていくのが自分でもわかった。
「その人と連絡が取れなければ、入国できないのよ。」
そう言われると、連絡先を教えるしかなかった。
電話番号を渡すと、管理官は裏にまわり、電話をかけた。
話し声は聞こえるのだけど、声が小さくて、一体何を話しているのかさっぱり聞き取れない。
数分後、管理官が戻ってくると、別室へ案内された。
「働いているわね。一緒だった友達に聞いたわよ。働いていないって言っても、レストランの客の証言だって取れるのよ。正直に言いなさい。ビザがないのに働かせたレストランが悪いんだから、早く言わないと営業停止になるわよ。」
頭が混乱して、何をどう言ったらいいのかわからなかった。
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コメント
裏に連れて行かれ、素っ裸にされて調べられてつなぎの囚人服を着らされ、囚人室で一泊。次の日の第一便で強制送還。かな????
ここまで読んだだけでも
すごい行動力です。
次が又気になってしかたがない。
んー!!いよいよ明日でカナダシリーズ最終話ですかぁ??
気になりますねぇ~・・・。どきがむねむねですっ!
あら~、やらかしてますねぇ
今こんなことしたら、あきれますけど。
若さゆえですね~
なかなかコメントできずすみませ~ん
カナダシリーズ読んでましたよ、すごい行動力です。私にはできそうにない…すごいなぁと。
やっぱ英語は重要ですね(笑) 次が楽しみです^^
へぇ~、シカゴかぁ。
アムトラックでアン・アーバーからシカゴ駅について
その時のしょんべん臭い構内がいややったって記憶
が一番強いねんけど(汗)。Windy Cityの名の通り
風が強いよね。
こういう場合って大きなはったりかまして堂々と
喋った者勝ちって気がする国だけど、そんなに甘く
ないのかにゃ?それにしても、危ない橋を選んで
渡ってきてるようなkaoさんやな。。。
::kspawsさん::
ブブーーー!!おしい!!
囚人服か~・・・やっぱりシマシマのやつですかね。
ちょっと着てみたかったかも・・・
::ミカさん::
行動力って・・・・何も行動しておりません(笑)
映画のように、ちょっと派手に逃亡するとかやってみたら面白かったかも。
でも本当にやってたら、今こうして平和に暮らしていないかもです・・・
::ふりっぱーさん::
残念でした。
カナダシリーズは、まだ最終回ではありません。
でもちょっとしつこすぎるので、あと2回ぐらいかな。
まぁそれほどドキがムネムネすることはありませんので。
::banさん::
何せ、17年前の話ですからね。
お許しを~。
若くてもBeがこんなことしたら、ただじゃおかないけど。
自分が経験して、初めて子供に言えることだわ。
まぁ、こんな経験する人なんて、滅多にいないけどね。
::ゆったり人さん::
こちらこそ、ご無沙汰しちゃってすみませ~~ん!!
なかなかこんなことやる人っていないですよね。
いえ、不法労働者は結構いますが、堂々と国外へ旅行に行くなんてねぇ。
英語力は大したことないんですよ。
今なんて、殆ど喋れませんから(笑)
度胸ですよ!度胸・・・・・・・。
でも今回のはいらん度胸でしたね。
::kabasai*さん::
あ~ら、お久しぶりぶり~。
kenken、元気にしてる?
>その時のしょんべん臭い構内がいややった
そうそう、よくあるよね~。
私はシカゴでは覚えてないんだけど、LAのダウンタウンがキョーレツに臭かったよ。
NYもところどころ。
みんな外でやってるんかな?
危ない橋は、渡りすぎたね。
今では安全な橋でも、渡るのを躊躇するぐらいだわよ。