3月1日に辞表を提出し、4月20日に退職することになった。
経理事務なので、後任の募集から引き継ぎを考えると少なくとも3カ月後の退職が望ましいとは思ったが、3カ月も会社に居続ける自信がなかった。
そして予想通り、社長からの風当たりが更に勢いを増した。
会社の経理をする資格はないとか、雇ったのは失敗だったとか、相変わらず色んな酷いことを言われてきたが、それに「さっさと辞めてしまえー!!」がプラスされた。
辞めると決まっているので労働基準法には抵触しないという前提だろうが、完全にパワハラだった。
次第に眠れなくなり、社長室から自分の机に戻って涙することもたびたびあった。
ある時、そんな私を見て総務部の相棒であるMさんが言った。
「酷いですよね。これって、もしかすると会社都合の退職になるかもしれませんよ。一度ハローワークで相談してみたらどうですか?」
会社都合になれば3カ月間の給付制限期間なしで失業保険がすぐに支給される。
でもそれよりも、このパワハラの実態をハローワークに報告したくて、仕事中だったがすぐに会社を飛び出した。
ハローワークでは、私が受けてきたパワハラの詳細を話し、会社の労務担当者に会社都合になるのではないかと言われたと伝えたところ難しいとのことだった。
「では、会社のブラックリストみたいなものはないですか?
あの会社は今年に入ってから既に6人も退職しているし、私も今実際にパワハラを受けているので、これ以上被害者を出さないためのブラックリストみたいなものは…
私が以前、求職中だったとき、ハローワークの担当者にある会社に応募したい旨を伝えたとき、小さな声で、『この会社は社長がセクハラをするとかで何人も報告があっているからやめた方が…』と言われたことがあります。
そんな感じでハローワーク内で注意喚起を促すようなものはないですか?」
男性担当者によると、そんなブラックリストみたいなものはないが、提供される情報は内部で共有しているとのこと。
何ともふんわりとした返答にもやもやしてしまい諦めきれず、必至に話していると涙がポロポロとこぼれてきた。
「証拠があります。この半年間言われたことは全部録音しています」
「それは使えるかもしれませんね。パワハラをしているのは上司ですか?」
「いいえ、社長です。オーナー社長です」
「それは難しいですね…パワハラをしている人が雇われている人であれば、会社側に訴え出れば何とかなることもあるんですが、雇用主が自らパワハラをしている場合は、難しいんですよ。録音があると言っても、『これは自分の声じゃない』と否定されたら、そこまでなんです」
それまで、録音さえしていれば必ず証拠になると思っていた。
完全なる知識不足。
否定された場合、声紋鑑定まで持っていけば何とかなるかもしれないが、そうなると費用や時間もかかってしまう。
顔を真っ赤にしてポロポロと涙を流す私に男性担当者が言った。
「会社が認めない限り会社都合にはできませんが、眠れないのなら一度病院へ行かれませんか?診断書が取れれば、会社都合と同じように給付制限期間なしで保険が支給されます」
色んなことに疲れてしまっていた。
会社に何らかのダメージを与えたいのなら、労働基準局に行くこともありなんじゃないかと言われたが、すっかり疲れてしまってそんな余力はなかった。
同じような被害者が出ることへの心配なんてやめて、もう自分のことだけを考えてもいいのかなと思えてきた。
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